ペットロスケア🐾セラピスト橘りんかの豆知識【36】
- りんか 橘
- 2020年5月20日
- 読了時間: 4分
ふやさないのも愛
こんなこと、ありませんか?
(言い方は適切ではないのかもしれませんが、ここでは「飼い主のいない犬や猫」のことを『ノラ』と表現させていただきます。
不快に思われる方は読み進めることをやめていただいて構いません)
*可愛いから、懐いてくれるから、ノラ猫にエサをあげていたらある日子猫を連れてきた…
*庭で飼っていた犬がいつの間にか子犬を産んじゃった…
実は、10年ほど前、わたしの家の近くにもノラ猫にエサをあげていた人がいて、気づいたら数十匹に増えてしまい…ご近所トラブルに発展したことがありました。
懐いてくれると可愛いんですよね…気持ちはわかるのですが、エサをあげるならそれなりの対応をしてからにしないと、本当に大変なことになってしまいます。
「動物を飼う」ということには責任が伴います。
ただエサを与えて可愛い姿を楽しむだけでは責任のある飼い主とは言えません。
捨て猫や捨て犬を可愛そうに思い、捨てた人に怒りを感じるあなたも、動物を飼った時に適切な繁殖制限をしないと、増えてしまった動物を「捨てる」側になってしまうかもしれないのです。
「生き物は自然に生きるべき」という言葉は耳に心地よく、安易に使われがちですが、人に飼われた動物はすでに自然とは切り離されていて、もはや自然に生きることはできません。
犬や猫は体のつくりや習慣までも人と一緒に生きるように変化してしまっています。
飼われている動物の繁殖をコントロールし、動物たちの快適な生活環境を守るのは飼い主の義務であり、動物への愛なのです。
また、動物の飼い主には、飼っている動物を幸せにするだけでなく、その動物が産んだ子どもも幸せにする責任があります。
可愛い、可哀想、といった感情で子どもを産ませたり、間違った自然観で繁殖を放置してはいけません。
動物の数が増えてしまうと、世話が行き届かなくなったり、人や動物の生活環境が悪くなってしまったり、飼い主がいない動物の命を絶たなければならなくなったりするなど、多くの命を不幸にするからです。
不必要に増やさないという愛は、動物を幸せにするだけでなく、それを見て育つ子どもたちの心を育むことでもあるのです。


全国では毎年、約12万頭の猫と、約4万頭の犬が殺処分されています…
その最大の原因は、飼いきれない数の犬や猫が産まれていることです。
飼える以上の命を生み出しては殺している社会が、安心できる住みよい社会と言えるのでしょうか?
殺処分される命を減らすには、まず、産まれてくる命の数を減らさなくてはいけません。
そのためには、飼い主一人ひとりが、命に責任を持ち、安易に増やさないことが必要です。
また、決まった飼い主のいないいわゆるノラ猫やノラ犬は、病気やケガ、交通事故、心ない人からの虐待など、さまざまな危険にさらされ、短い命を終えています。
人が責任を持って飼うべき生き物が、暖かい家もなく悲惨な状態で死んでいく社会は、子どもたちにどんな影響を与えるのでしょうか?
不幸な猫や犬を生み出さないため「増やさない」ことは、生き物への愛なのです。
【それぞれの現状】
猫:自治体に引き取られる猫は年間約14万頭、その72%(約10万頭)は子猫で、
そのほとんどが飼い主のいない猫や外飼いの猫が産んだものです。
引き取られる子猫の数はあまりにも多く、また健康状態もよくないため、大半が
命を絶たれています。
つまり、猫を不妊去勢しないで屋外で飼うことや、ノラ猫に安易にエサを与える
ことが、殺処分される猫を増やしているということです。
犬:自治体に引き取られる犬は年間約7.2万頭、その18%(約1.3万頭)が子犬で、
ほとんどは飼い主がいる犬が産んだものです。
引き取られた子犬の一部は新たな飼い主に譲渡されますが、多くは飼ってくれる
人がいないという理由で命を絶たれています。
つまり、犬を飼っているいわゆる「犬好き」が、飼いきれない犬を産ませて殺して
いるということなのです。
うさぎ:全国の多くの学校で子どもたちの教育のためにとうさぎが飼われています。
ですが、オスとメスが同じケージ内で飼われ、無制限に繁殖をくり返している
など、適切な管理がされていない例が少なくありません。
適切に飼われている学校では正しい動物の扱い方と命を慈しむ心を子どもたち
に教える機会となっていますが、一部の学校では教員に正しい飼育管理の知識
が不足しているために、過密な環境や不適切な世話でうさぎが苦しみ、不必要
に命が失われる場面を子どもたちに見せてしまっています。
きちんと世話ができる数以上の動物をかかえてしまうと、動物も人も不幸になってしまうということがおわかりいただけたでしょうか?
本当に動物を愛しているのなら、繁殖制限、不妊去勢手術をちゃんと考えてくださいね。
Comments